特に著しい認知性高齢者に対して

考え方

　著しい行動障害、不適応行動を伴う病期進行の過程においても、認知性高齢者の方々は日常生活残存機能を兼ね備えており、その点に着目した多様なアプローチをすることで、認知性症状の緩和や問題行動の鎮静化を図り、可能な限りその人が住み慣れた地域社会で生活できるように総合的な支援を提供いたします。

権利擁護に配慮したケアの提供

　認知性高齢者はさまざまな問題行動を引き起こしますが、必ずしも本人側だけの要因ではなく、施設環境そのもの或いはケアを提供する我々の声掛けや関わり方が問題行動を誘発していることも否定できません。この事を常に念頭におき、認知性高齢者の人権の尊重を侵さないケアを提供いたします。

身体拘束をしないケアの提供

　問題行動、周囲への迷惑行為が見られても、事故につながる場合は即座に回避する対応は必要であるが、それ以外に関してはすぐに抑制するのではなく、利用者の立場に立って誘発する要因を探り除去する関わり方を致します。

薬物療法による抑制をしないケアの提供

　昼夜逆転、不穏、暴力暴言行為、徘徊などの行動が見られても、日中の活動量を確保すると共に各種アクティビティの充実を図るなどの工夫をし、生活リハビリの調整・確立および精神面の安定が図れる関わり方を致します。

コミュニケーションの拡大

　認知性高齢者個々の心身機能レベルに合わせて様々なコミュニケーション技法を活用すると共に接遇に配慮し自尊心を重んじ、安心感を寄与する関わり方を致します。

生理的欲求、精神的欲求の充足

　日々の関わりで表情、行動など細部にわたり観察し、全身で表現しているシグナルを理解し、本人のニーズを充足できるケアを提供いたします。

多彩なグループケアの提供

　身体・精神・心理・行動的側面から状態を十分に評価した上で問題行動パターンや残存能力、潜在能力といった機能分類化した多彩なグループケアを展開する。実態感のあるケアを提供し認知性症状の進行緩和・安定が図れる関わり方を致します。
　回想的に五感を刺激し、家事作業（料理、洗濯、洗濯干し、洗濯畳、掃除など）場面を提供いたします。
　趣味活動の再現など容易に喚起できる環境とプログラムを設定し、メリハリのある、また意欲向上になるケアを提供いたします。